Oculusの3D Audio SDK previewが公開された

GDC2015に合わせて、OculusのAudio SDKが公開された。ただし、GenericなC++ APIは含まれていない。いまのところ、

Androidサポートが存在するのはSamsungのGearVRのためで、Unityでは更にGearVRのFastPath OpenSLドライバを使用できる。FastPathはAndroidオーディオシステムの問題である高いレイテンシをカバーするための専用のプラグインで、GearVR側のUnity統合に含まれている。
今のところ、Unreal Engineを始めとしたゲームエンジン統合は(Unityを除いて)提供されていない。このため、ゲームエンジン側のWWise/FMOD統合を通して使うことになる。
FMODやUnityのようにAndroidをサポートしている環境ではしつこくFASTモードを使えとドキュメントに有る。FASTモードと通常のモードで、リバーブ対応の有無などが違う。
パラメタはVSTに表われている。

VSTはステレオ入力だが、Unity等のプラグインはモノラル入力を前提としている。
AED座標(角度による指定)とXYZ座標(距離による指定)は実際にはリンクしている。NEAR - FARパラメタは、減衰開始点と無音になる点を表わしている。個々の座標はメートル単位の実距離を取る。EXPAND VIEWボタンで表われるROOM REFLECTION PARAMSは、ユーザのおかれた環境を表現するパラメタで、これを常に変化させることは想定されていないように見える。
Dolby Atmos等に見られるようなsizeパラメタはOculus Audio SDKには見られない。この判断の理由、つまり、近距離でのパンニングにフォーカスする理由はよくわからない。他のドキュメントも、現状模索中というのを強く感じる。
SCEのMorpheusは外付けDSPユニットで3Dオーディオを処理している。これも特にメリットが見当らないが外付けユニットの重要な存在理由はソーシャルスクリーンに有り、ミキシングをソーシャルスクリーン提供側に持っていきたくなる心境は理解できる。もっとも、このポイントで対抗しているVRシステムは現状存在しないため比較できない。
Qualcomm等はモバイルSoCにオーディオDSPを載せているので、そちらとの統合に利が有る分、この分野にはまだまだオーディオミドルウェアに活躍の余地が残されている領域とも言える。

このデモでは高品質の映像も見どころだが、手のロボットや巨大ロボットが発する足音、草木との接触で発生するガサガサ音など、3Dオーディオの表現もひとつのポイントとなっている。それについていうと、音の定位感は期待したほどではない。新型Morpheusの“本当にそこから鳴っている感”を体験した直後だったので余計に、音源の距離や位置などの表現が曖昧に思えた。もちろん、筆者が体験したハード個体の環境がたまたまそうであった可能性もある。