プリチャンはどこに向うか


桃山。
前回( http://d.hatena.ne.jp/mjt/20180401/p1 )の予想は新加入キャラが紫ってのしか当たってない!しかもクロスオーバーは初年度である今年からゲームの方で展開されている。VTuberアイカツがやった( http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1806/07/news141.html )けどストーリーキャラクタではない。マイルームは"プリ☆チャン わちゃわちゃ会"としてコミュニケーションパートが実装されたがチーム構成がephemeralなのは変わっていない。宇宙はモチーフとしてアニメに登場しているが、さすがにもっと現実的な方面の切り方となった。
来年どうすんのかというのは非常に難しいところで、"キラっと"だけ替えるのかタイトル総替えか。。個人的には総替えすべきと思うけど。。

うまくいっていると思うところ

プロジェクト全体のコスト効率はかなり改善されたと感じる。
アーケード筐体はプリント筐体になっているが、このプリントはおそらく40〜50円/プレイのコストが掛かっていてこれを無くすことはできないので、どうしても開発や運用のコストを削ることでの利益確保になる。プリパラでは各キャラクタ毎に筐体オリジナル曲を制作していたが、プリチャンではこれを原則的に廃し、"歌ってみたシリーズ"としてインフルエンサー(乃木坂46)、LOVEマシーン(モーニング娘。)のカバーを制作している。...なぜこのラインナップになるのかはちょっと解らないが、アニメ楽曲がavex制作なのに、こちらはSMEの楽曲というあたりに事情を感じる。
コーデはブランド推しをやめて2チーム両方に同じものを着せ、更に限定カラーなどを駆使してバリエーションを出している。パーツや楽曲、モーションも含め相当量のアセットは前作プリパラからの再利用で構成されており、物量感を出すことにはある程度成功していると思う。
おもちゃ類はなんと1種に抑え、タカラトミー(!= アーツ)として出しているおもちゃ(カード/収納除く)はプリチャンキャストただ一種、しかも過去のシリーズとは異なりデジタルトイではない。筐体連動も印刷されたコードのみ。
運用面でも重篤な不具合(cf. http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1812/06/news115.html )を出すこともなく比較的おだやかに進行した印象。プリパラでは雑誌付録のコードがredeemできない等課金系の問題が見られたがシステム側の成熟があるのかもしれない。クラッシュ等のソフト品質はデータが無いので謎。

好みの問題

個人的にはプリチャンのデザイン方面は絵が若い感じというかなんというかフレッシュで良いと思っているけど、世間的にはあんまりそういう評価を聞かないので感覚がズレてるかもしれない。
アニメも当初見られた暴力的な傾向は鳴りを潜めていて日曜朝らしい良いアニメになっていると感じる。ただ、一貫した目的の無いドラえもんのようなアニメで良いのかというのは否定的意見が多い印象がある。

うまくいっていないと思うところ

着地点の無いコンテンツは売りようが無いのは前回ので散々書いたけど、それ以上にプロモーションが不味いんじゃないかという気がする。たとえば公式YouTubeチャンネルの登録者数は1万程度で、アイカツの公式チャンネルの1/10以下となっている。開設期間や視聴層(= 国籍など)の差は有るものの、予測されるプレイヤー数にここまで差は無い。公式の略称で"プリ☆チャン"(間に☆を入れるぶん検索性が低くTwitterのようなSNSでのトレンドになりづらい)を使うといった小さな問題から、そもそもIPホルダーの分散がそのままコミュニケーションの分散になってしまっているという大きな問題まで、さまざまな問題を解決していく必要がある。
コスト面の努力は感じるが、逆に言えば"そこまでしないと生き残れないのか"というのが正直な感想でもある。...まぁそれでもアイカツフレンズよりは贅沢を感じるし、オトカドールに至っては今年はアップデートが無いし。。

シリーズはどこに向うのか

まったく良いアイデアが無い。ハイターゲット(いわゆる大型女児)向けに営業を続けるのか、プリパラのようにもっと低年齢層に振るのかは決断が要るポイントだけど、正直リスクを取ってまで営業を拡大することを支持できるポイントが無い。
アニメキャラクタの商売はプリティーオールフレンズとして主に筐体外で展開している。逆にマイキャラの商売は(グッズ販売は設定されているものの)筐体内に閉じているので、展開のしようは有るかもしれない。プリチケメーカーのようなアプリは過去に展開していたので、同様にWebサイト等外部でマイキャラを作らせて誘引するなど。
マイキャラの音声は当初ボーカロイドを使うことが企画されていた( https://twitter.com/SHINOHBA/status/976571267942834176 )など、まだまだマイキャラのシステムには技術的制約で構想を実現できていないポイントが数多くあり、技術的なブレークスルーによって"ウリ"が産まれる可能性は大いにあると考えている。アニメキャラクタと同じプラットフォームで活躍するマイキャラの存在はコンテンツとの新たな関わり方になる可能性がある。
逆に言えば、これらの技術的なブレークスルーを取り入れていないうちは、新規のコンテンツが入り込むスキのあるニッチが存在すると言える。例えば変身前のマイキャラを含めた2世代キャラクの実装には衣装のスケーラビリティを実現する必要があるが、そのためには衣装のあらたなオーサリング方法論が必要になる。