初期のプロットでは、天使が偽物だとバレる理由を"コミュニケーションをとれること"に置いていた。手を触れられないことや、自然現象のようなrandomnessが即ち神聖性という価値観で、あまり受け入れられづらいかなということで没にした。
話をお伽話のように纏めないといけないということで、内的な問題は解決せず、外的な問題を解決することで起こるエピソードを中心に書くことにした。内的な問題を解決しないのは物語の類型としてもそれなりにメジャーと言える。これは物語に起こる後天的な変化で、物語が教科書に採用されて流布されるとか、翻訳にあたって現地の社会に適応するとかで起こる。物語は伝承するにつれて細部が抜け落ちたり他の物語と結合するなどして均質化していく。
例えば、桃太郎は『桃を食べて若返ったおじいさんおばあさんがdoして出来た』という"回春型"/"若返り・懐妊型"の類型が普及していた時代もあったが、現在の桃太郎の多くは桃から生まれる。
この現象を真似して、最初に内的な問題に依る物語(プレイヤキャラクタ2名分: 過去に逃避することによる現在の否定 + 後天的に翼を得ることの畸形性)を作り、それを丸めて外的な問題を解決する物語(灯台に置き去られた絵本の持ち主を探す)に仕立ててプロットを用意した。