パースと2D的表現

3DCGに付けるアニメ風のパースはなかなか難しい問題。個人的にはこれらをスクリーン座標系で扱うべきだと考えていて、上手いツールがつくれないかと検討中。
3DCGツールでアニメ風のエフェクトを導入するツールはいくつか市場にある。

ここ数年で、このへんの考察は急速に発達した。パース変形は手付けのことも有ったが(http://www.bandaigames.channel.or.jp/list/ps3_naruto/storm.html の超アニメモーション1)、シーンごとにアセットを持つよりはエフェクトの方が扱いやすいので、今後もツールによる自動化の導入は進むと考えられる。
ただ、この手のツールはソフト境界を越えるときの扱いがまだ未成熟で、a) より柔軟性の高いフォーマットで出力する b) 3DCGソフト側で2Dポストプロセスを可能にするの2つの方向性がある。
例えば↑のpencilでは、後から合成するために、線画部分と塗りの部分を分けて出力することができる。

compositeからsynthesisへ

アニメ絵にパースは不要というエッジな意見も有る。。要するにアニメや絵は記号の集合として描かれているので、変形は好ましくないと言われている。

では広角の画面に望遠の人を入れた構図を見てみましょう。……見ててそんな違和感無いでしょ?(笑) それが分かるのは山本さん、あなたが凄いからなんです。スーパーマンじゃない僕たち一般人には分からない。それにこっちの方がなんか収まりが良く見える。格好いい。
...
顔のパーツ全部平行に揃ってるでしょ? つまり全部望遠なんです。
この本、丸々一冊読みましたがパースの話は出てきません。一切。萌え絵にパースは無いって、この本の彼は知ってるんです。だから説明しなかった。必要なら説明しますよ。萌え絵にパースは要らないんです。

ここの議論をまとめると、異なるシステムで描かれたオブジェクトを合成(composite)することによってアニメ(や絵)のシーンは構成されていると言える。このcompositionは現状多くのシステムでは人物とか物体といったオブジェクト単位で行われていて、パーツ単位のレイアウトができない。このcompositeをもっと細粒度にして、ユーザの注目するポイント単位で合成を行うことが求められているように思える。
伝統的なセル画/手書きのアニメには"目パチ口パク"と呼ばれるようなテクニックがあり、のっぺらぼうの顔の上に目や口といったパーツだけを描画してアニメーションさせていた。現状の3DCGシステムでこれを扱う上手い方法は無い。
3DCGシステムによる絵の表現で実現したいのは絵のsynthesisであって、compositeでは無い。(手書きのアニメがcompositeで済んでいるのはパーツ自体も手書きであるため。)

市場性の問題

もっとも、そのような絵に市場性があるのは手書きのアニメーションに慣れ親しみ、その絵が"正しい絵"としてインプットされている人間が多いからでしかないのかもしれない。
海外の純粋な3DCGアニメーションや↑のようなツールで作成された( http://www.psoft.co.jp/jp/product/gallery/casestudies.html )3Dオブジェクトのcompositeで構成されたアニメを見続けた人間が増えた場合、果たして手書き(風)アニメーションに市場性は有るのだろうか。
ただ、これだけ視覚メディアに溢れていてもマンガは売れ続けているし、シンセサイザがあるからと言ってスタジオミュージシャンの仕事が無くなったわけでもない。