尊敬されるアーキテクチャは市場で成功しない

http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/09/06/hotchips9/002.html (via http://d.hatena.ne.jp/futsu-9/20080907/p1
確かに、僕らが子供のころはGaAs(ガリウムヒ素)は最高にクールなテクノロジで、NHK見ながらスゲーと驚嘆していたけれど。
『人間は顔じゃない』と同じ世界で、プロジェクトの成功要因に技術「も」含まれるが技術以外の要因も重要なのだろう。

複雑化に歩めるか

プロセス技術や政治層(マーケティング)が今後もシステムの複雑化を許さないのか、それとも何かブレークスルーをやってのけて、また複雑なロジックを作り込めるようになるのか。
個人的には、「これ以上の複雑化は出来ない」に賭けている。人間を輸送する技術に飛行機以上のブレークスルーが無いのと同じ事だ。
プロセスルールが進んでも、CMOSに限界がきても、半導体で無くなっても、「少ないリソースで今と同じ事をする」アプローチは有効であり続けるだろう。
問題となるのは何と同じ事をするのかという点だ。

他の業界で考える

  • Tokenringは少なくとも家庭では普及していない
  • ATMは微妙
  • シングルレベルストア
  • リムーバブルストレージ(cf. NeXT、Plan9)
  • セガのゲーム

僕はPalmTop PC110を98年ごろお年玉はたいて(19,800円で)買って熱心なユーザになったが、今Netbook/Nettop花盛りの時代と鑑みるに何事も長い目で見ることは重要だと思う。もちろん、それが利益を生むかどうかは全くの別問題と言える。

順位付けは難しい

本来、自分なりに順位付けをしたらどうなるかを考えていたのだけれど、結論が出なかったので止めておく。

  • カテゴリA - クールだと思う
    • 6502 - (コメント不要)
    • Itanium - アーキテクチャは用意周到だが実装やマーケティングはそうではなかった
    • Alpha - パフォーマンスに関して。ISAには特に愛着が無い。
    • Blackfin - 実利的な面では良くデザインされている
    • SH2/3/4 - 変態的という点ではココに入れる
    • ARM - 同上
  • カテゴリB - エミュレータを書いた方がマシ
    • IA32、8080、Z80 - つきあいは長いが。。
    • MIPS - 結局COPに頼る
    • SPARC - 期待ほど速くない
    • PowerPC - (実用上は)良いMIPSだがMIPSほど学習しやすくは無い
  • カテゴリD - よく知らない

Super FXのような特定用途向けプロセサはクールだと思うのが多いけどこのリストに含めるのは適切では無いと思った。あと、Transputerのようなアーキテクチャも扱ったことがないので除外。文献を読む限りはクールだと思う。

市場での成功というよりは、端的に言えば、クールだと思うプロセッサで仕事はしたくない。。僕が面白いと感じるISAは扱いづらいから面白いのかも知れない。

もちろん、売れないから重要でないということは無い。Atari Jaguarは売れなかったことでは有名だが、Jaguarアーキテクチャ*1は後のPS2にも通じる、ローカルストアを搭載したDSPを使い頂点演算や信号処理をさせ(カスタムDSPのTomとJerry)、ゲームエンジンは汎用コア(68000)を流用するデザインになっている。

*1: http://www.larshannig.com/download.php?id=3 でマニュアルをダウンロードできる。