宿題 : ARMのNetbookを売るために必要なことは何か

Smartbookというカテゴライズをするらしいが、少なくとも国内市場では"誰かが持っているアレと同じもの"は重要な視点といえる。

A : Windowsを高速に実行する

結局のところこれに尽きるように思われる。伝統的には、CrusoeVirtualPCがそうだったようにx86以外のプロセサやエミュレータにもMSはWindowsをライセンスする。だからNetbookqemuをプリインストールしてWindowsを提供する という目的でWindowsをライセンスされるのはそれほどファンタジーではない。
重要な問題は、qemuは一般消費者が期待するほど高速ではないという点で、Godsonのように専用命令を追加するか、さもなければ、"ネイティブコード実行デバイス"をvirtioなりなんなりの枠で実現する必要が有るだろう。
例えばCODECやTCPのようにハードウェアオフロードを提供できるパートは、エミュレーションではなく準仮想化で実現できる。このオフロードは、他のqemuベース仮想化コミュニティにもメリットが有るので検討されるべきだろう。
それ以前に、Windows7を動作させるという難しい問題もある。準仮想化されるWDDMドライバを提供するのはそれなりにコストの掛かる仕事に思える*1
コードの変換とキャッシュは(windowsの)ユーザモードで制御されるのが望ましい。Crusoeのように変換プロセスをシステムに対して隠蔽してしまうと、ユーザ応答の低下というかたちで表面化する。

B : ネイティブアプリケーションを平行実行する

例えば、Flashなど"重い"プラグインだけをネイティブのもので代用するのは悪くない選択肢に思える。しかし、少なくともFlashはそれほど柔軟に実行できるわけではない。

WebブラウジングWindows専売(現在の日本語においては)

英語圏はともかくとして、日本のWebユーザはWindows(またはMac)の操作感に大きく依存している。要するに、LinuxにはMS Pゴシックも無ければ、MS-IMEも無い*2。カタカナを入力する方法やかな入力に切り替える方法に標準が必要だ。
悪いことに、学生であればWebブラウズ中に遭遇するファイルタイプのリストにOfficeファイル(docやxls)が相当数含まれる。e-taxのような日本の公共Webサイトも同様にWindowsに依存している。
"PC向けのサイトにアクセスする"という目的を達成させるためにはWindowsを動かす必要が有る。
もちろん、"携帯電話向けのWebサイト"とか"Wii向けのWebサイト"のようなカテゴリが存在するのと同様に、"Smartbook向けのWebサイト"が出現するようになるのかもしれない。
多くの人間にとってWeb標準とは明らかにどうでもいいものだが、このような柔軟性を得るためには重要だということを認知させる必要は有る。

*1:今の所VMwareだけがこの仕事を終えられると考えられる。VMwareはMesaをホストしていたTungstenGraphicsを買収しており、この領域(DirectXのエミュレーション)に一定のリソースを割いていた実績が有る。Xen陣営もビデオカードの仮想化をデモしているが、この目的に使えるかどうかはなんともいえない。

*2:いわゆるモナーフォントは悪くない提案だが常に機能するわけでもない