Razer Surround Proのメモ

Razer Surround Pro( http://razer.degica.com/ )をしばらく使ってみたのでメモ。
LFEチャンネルは無視される。まぁこれは正しい実装。このため、実質7.0chデバイスとして機能する。
オーディオエンジンを提供していると思われるA-voluteはWebサイト( http://www.a-volute.com/ )を閉鎖してしまった。彼らのプロダクトであるNahimicのサイト( http://www.nahimic.com/ )だけ独立させていて、Razer Surroundのオーディオエンジンもこれに近いものと考えられる。彼らのプレス向けPDFが興味深い("FROM MILITARY TO THE PC WORLD": サイト上部の"COMPANY"からアクセスできる)。
実際のオーディオエンジンである"C:\ProgramData\Razer\Synapse\Devices\Razer Surround\Driver\RzSurroundVADStreamingService.exe"のPDBパスが

D:\BuildDrv\Avolute\Products\NahimicVADDemo_1_01_59\Out\Win64\Release\RzSurroundVADStreamingService.pdb

なので、Razer Surround = Nahimicと言えると思われる。他にはMSIのゲーミング製品に採用されている(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/20150602_704995.html - Nahimicガールまでいる)。
規定のオーディオデバイスに設定しないとバーチャルサラウンドが動作しない。Razer Synapse上の"バーチャルオーディオデバイスの有効化"チェックボックス*1有効化表記が、WASAPI的な規定のオーディオデバイス設定と連動している。一部のアプリだけバーチャルサラウンドを適用したいといったユースケースに対応できない。。
ASIO4ALLは動いたり動かなかったり。ASIO4ALLで"UNAVAILABLE!"と出て使用できない場合は、サービスRzSurroundVADStreamingServiceを再起動すると動作するようになることが多いように思える。サービスの再起動は管理ツールか、Windows8以降ならタスクマネージャから行える。
WASAPIの排他モードでは、バッファ長を512サンプル以上取らないと正常に動作しないようだ(ゲームデバイスとしてこの遅延量を要求するのは大丈夫なんだろうか)。ASIO4ALLで使う場合は、ASIOアプリケーション側で512サンプル以上のバッファを指定することになる。
"ステレオの強化"はシンプルな逆相送出に聞こえる。この機能は7ch出力中は無視されるが、LRチャネルだけに音声を出力していると無視状態が解除されるようだ。逆相送出とすれば、ProLogicソースに効果がある。
Razer SurroundのオーディオエンジンはあるタイミングまではRazer Maelstromと呼ばれていたようだ(ログファイルのファイル名が今年のRazer Surround Pro発売まではc:\Windows\Temp\RzMaelstromVADStreamingService.logとなっていた)。

パッケージ上に書かれている動作原理はあまりA-voluteの説明とマッチしていない印象がある。

*1:最近のアップデートでUIが多少変更された