Dolby Atmosの家庭用仕様

映画館用Dolby Atmosと家庭用である「ドルビーアトモス ホーム」の違いは「チャンネル数」。劇場用のほうは最大64ch・128オブジェクトに対応。一方ホームシアター用は最大34ch・10オブジェクトとなる。

少ッ!
... ということは多分無くて、この記述は多分34ch = フロアスピーカー24ch + Hightスピーカー10chの間違いに見える。

佐野氏:劇場用と家庭用のAtmosの大きな違いは「チャンネル数」です。劇場用のほうは最大64chに対応。沢山スピーカーを使える分、きめ細かい空間描写が可能です。一方家庭用は最大34ch(24台のフロアスピーカー+10台の天井スピーカー)までとなります。

ただ、とりあえず劇場用Atmosと家庭用Atmosに差が有るのは事実のようで、Dolbyの公開しているホワイトペーパーにも同様の制限の記述が有る。

Depending on the receiver configurations, the Dolby Atmos object audio renderer can support as many as 34 speakers...

今のところ、Dolbyから具体的オブジェクト数制限については開示されていない。
Dolbyのホワイトペーパーはセットトップボックスやゲーム機への統合にも言及している。特に、オーディオデータの転送にMAT+TrueHDを使用することが開示されている。

A key benefit of Dolby MAT 2.0 is that Dolby Atmos object audio can be live encoded and transmitted from a source device with limited latency and processing complexity. Among the possible sources are broadcast set-top boxes and game consoles. The Dolby MAT 2.0 decoder in an AVR outputs the object-based audio and object audio metadata for further processing. The Dolby MAT 2.0 container is scalable and leverages the full potential of the HDMI audio pipeline.

MATはDolby TrueHDのためのメタデータ仕様で、これを拡張しDolby Atmosをサポートしていることになる。"原理的には"、リアルタイムなMATエンコーディングによってインタラクティブコンテンツを出力することも可能と言える。ただし、Dolbyは伝統的にMATに関する情報を開示していないので、明示的にサポートされたシステムでなければ実装は難しいだろう。
チャンネルベースオーディオ時代は、HDMIの8chオーディオ転送能力によって標準規格のみでシステムのパフォーマンスを最大限活用することができた。しかし、今のところオブジェクトベースオーディオをサポートする(良い)標準規格は存在しないため、Dolbyプロプライエタリなcodecを使用しない限り市場のAVアンプを活用しての出力は行えないということになる。
この状況はAC-3やDTSを使用しないと5.1ch出力を行えない光デジタル(S/PDIF)に近いとも言える。トランスポートの制限が、プロプライエタリcodecの使用を要求している。
というわけで、今のところ、通常のゲームでのAtmosの活用はあまり良い状況にない。我々は今のところOpenALなりなんなりの方法で水平方向のパンニングは活用していて、それは従来の7.1chシステムでは良くレンダリングされる。しかし、Atmosシステムでの天井スピーカーを活用するポータブルな方法は現状無い状況で、しばらくは映画コンテンツでのAtmosの状況を見守るしかない。