ページ志向UIへの回帰

Github for Windows( http://www.forest.impress.co.jp/docs/news/20120522_534423.html )を見ていて思ったけど、今時のアプリケーションはフローティングのGUIパレットを殆ど使わず、単一Windowの複数ページで構成されていることが多くなっている。
GUIの流行から見て、ポイント & クリック形のUIは廃れつつあるように見える。

歴史的なページ志向UI


ページ志向UIの典型例としてはいつもFairlight CMI(動画のSeries2は'79)を引いている。Fairlight CMIは"ページ"とよばれるGUI画面を複数もっていて( http://synth.fool.jp/os_vsm_2/cn76/cn66/cn65/pg524.html )、それをコマンドで切り替えながら操作する。
歴史的なページUIの重要な特徴は、context sensitiveでないことだろう。機能は固定的で、状況に応じて変化することが無い。Office 2010のリボンUIなど、近代的なページ志向UIはコンテンツ志向であり、context sensitiveであることが多い。
(注目すべきなのは、Fairlight CMIはポイント & クリックを行うためのハードウェア(ライトペン)はちゃんと備えている点だろう。それでも、フローティングウインドウは採用していない。)

フローティングウインドウUI

フローティングウィンドウUIは、メモリやコンピューティングリソースが豊富にないと実現することができない。それでも、レイヤー化されたフローティングウィンドウUIがそれなりに普及しているのはユーザにコンテキストを忘れさせない効果が高いためだろう。
ドラゴンクエストは最初の作品('86)からレイヤー化されたウインドウによるUIを取り入れている。たとえば、ドラゴンクエストの"はなす"メニューの選択画面が全画面表示だったら。。?
PhotoShopLightRoomのような静止画アプリケーションは今でもフローティングウィンドウUIのための考察を多く持っている。

スモールスクリーン化によるページ志向への回帰

しかし、モバイルの全盛によって画面サイズは退化し、スモールスクリーン向けのUIとしてページ志向UIを採用するケースが増えた。
実際、Windows MobileWindowsCE時代から全画面のダイアログを中心にしたアプリケーション作りをサポートしていたし、iOSAndroidのアプリケーションでもページ志向UIのAPIはシステムが用意している。

PalmのWebOSやSonyのVitaはもっと右翼的で、アプリケーションをカードに抽象化し、システムによって統一されたUIでカード間をスイッチできる。これはFairlightのような歴史的ページ志向UIに非常に近い。
チープで普及したコンピューティング文化は、全体のコンピューティング文化を置き換える事が多い。非常に高価なコンピュータをタイムシェアリングで使用するコンピューティングから、チープなマイコンを専有するコンピューティングに変化したように、高度にレイアウトできるフローティングウィンドウから全画面ページ志向へのUIに変化していくように考えられる。実際、MacWindowsもモバイルアプリケーションの文化をデスクトップアプリケーションに適用しようとしている。