ATARI VCSの開発資料とゲーム内容規定
(このシリーズ、回を重ねる毎に3Dじゃなくなってる気もするが。。)
ATARI 2600の開発資料がアップロードされている。これにはGame Standards and Procedures for Atari 2600 VCSが含まれていて、この規定は広く適用されたものとしては最古の"家庭用ゲーム機のソフトウェア基準"だろう。
(日付は'87年だが、基本的にVCSのゲームはほぼすべてこのフォーマットに従っている。つまり、コピーライト表記付きのスタートページを分離して持ち、ゲームモードをいくつか備えるのが普通だった。後付で基準化されたのかもしれない。)
無敵モードが義務付けられているのが興味深い。同様の規制は他のプラットフォームにもあり、例えばSEGAも"画面撮影用のポーズモード"を奨励していた。
Television Interface Adaptor (Model 1A)には手書きの図が含まれる。TIAはJay Minerがデザインしたチップなので、この図も彼によるものかもしれない。手書きの図はすくなくとも70年代〜80年代初頭のコンピュータマニュアルでは意外と良くある。(例えばAppleの有名なWoz Wonderbookのように: http://www.digibarn.com/collections/books/woz-wonderbook/index.html )
ソフトウェアと審査
ファミコンからiPhoneに至るまで、プラットフォームでライセンスされたソフトウェアを販売するには、プラットフォーマーの審査が必要となるのが普通になっている。
家庭用ゲーム機は当初サードパーティという発想が無かったために、審査の仕組みは多くの場合自然発生的に構築された。
- 任天堂とSEGAはゲームプレイのビデオか何とシナリオ(テキスト)を提出させていたはずで、これはCEROの審査に受け継がれている。
- 現在、家庭用ゲーム機のソフトはすべてCEROのようなレーティング機構と、プラットフォーマーによる技術的な審査の両方を通過しなければならないということになる。
- 逆に、CEROが登場する以前は、規定中に倫理的な部分も含まれていた。現状のCEROの規定と大差ない内容( http://www.cero.gr.jp/regulation.pdf )。
- 多くのプラットフォームではゲームの文法に相当する部分を規定している。スタートボタンでポーズすることとか、タイトル画面で放置したらアドバタイズループに入ること等。これはATARIの頃からみられるということになる。
- 後発のプラットフォームはもっと綿密な規定リストを整備している。例えばSonyはTRCと呼ばれるリストでこれらを管理しており(see http://www.highriskrevolution.com/gamelife/index.php?e=101 )、マイクロソフトは同様のリストをTCR(Technical Certification Requirements)と呼んでいる。
- 例えばWindows Phoneの場合( http://msdn.microsoft.com/en-us/library/hh184840%28v=vs.92%29.aspx )のように、このようなリストには各種サービスの対応や起動時間のような非常に細かい点も含まれている。
- (追記: 任天堂の場合はLotcheckと呼ばれる: ... So, in July, we weren’t able to get lotcheck results for North America or Europe; ... http://la-mulana.com/en/blog/regarding-la-mulana-in-north-american-and-europe.html )
審査の必要性はなかなか難しい問題としか言いようがない。中央的な審査に代えて、例えばマイクロソフトのApp Hubではピアレビュー方式を採用しているが、他のプラットフォームではそのような仕組みは見られない。